判例の見直しか、預貯金の遺産分割
2016年11月24日
代表的な相続財産には預貯金がある。実はこの預貯金、一部の例外を除き遺産分割の対象に含まれないことはご存知だろうか。
金庫などに入っている現金とは異なり、「預貯金」というのは、あくまで銀行に対する債権という性質をもっており、2004年の判例でも「遺産分割をしなくても、他の相続財産に関係なく法定相続分に応じて分割(継承)される」となっている。(※もちろん当事者同士の合意があれば、預貯金を遺産分割の対象に含めることも可能である。)
判例の見直しが期待されている今回のケースは、被相続人の預貯金およそ4000万を巡って争われている。法定相続人は2人だが、そのうち1人が被相続人の生前に5500万ほどの贈与(生前贈与)を受けていたという。生前贈与を考慮せず、被相続人の預貯金を法定相続分通り2分の1ずつ分けるのは不公平だと主張したが、一審・二審は判例通りの判決となった。しかし、最高裁へ不服を申し立てたところ、最高裁は審理を大法廷に回付した。すなわち、判例が見直される可能性があるということだ。
預貯金は遺産分割の対象に含まないという判例は、金融機関の運用や上記のように不公平が生じることから度々指摘されてきた。今回の決定には大きな注目が集まっている。早ければ年内には決定がでるそうだ。